どうも、ぞーげきゅうです!
昨年採れた自家産の種から育ててきた実生グラキリスがずいぶん育ってきたので、初めての植替えをしました。
▼2022年自家採種の記録についてはこちら
そしてこれまで、その自家産グラキリスは当ブログにまだ一度も登場していませんでした。記録しておきたいと常々思いながら、なかなか記事に起こせず…。
2022年7月に播種してから10ヶ月経ちますが、日々大事に育ててきたので、やっぱり愛着も湧いていて可愛いものです。
というわけで今回は、これまでの経緯もまとめて、初めての自家産グラキリスの実生記録です!
親株
まずは、初の自家産実生グラキリスたちの親株をご紹介しておきます。
親株の姿形がどの程度遺伝するのか?今後も年々種を採って実生していく中で結果に表れてくると面白いですね!
Aグループ
こちらのペアで採れた種は、Aグループとします。
左株の花粉で右株が結実して採れた種です。
このグループは2022年7月14日に播種。
Bグループ
Bグループは、一本の花茎に種鞘が2つできて最終的に混ざってしまったので、♂親株がハッキリ分かりません。昨年の私のうっかりミス…(笑)
中央と右の株の花粉で、左の株が結実して採れた種です。
ですので♂株はこの2株のどちらか一方ということになります。
このグループは2022年7月23日に播種。
土の種類を変えてみた(Aグループ)
昨年購入した種を蒔いた実生(2022年6月播種)でも土を変えてみましたが、同時期に播種していたこの自家産実生でも同じようにやっていました。
山城愛仙園さんのオリジナル培養土の粒度違いのものと、赤玉土(小粒)のみで分けてみました。
▼山城愛仙園さんの培養土についての記事はこちら
種の形状で分けてみた(Bグループ)
Bグループの親株からは82粒の種が採れました。
せっかく種がたくさんあるので実験してみようと思い、その中から形状別に選定・分類しました。
ちなみに、ここで言う “背中” とは、三日月状に反っている種の外側のR部分のことです。
Bグループの土は、全て愛仙園さんの培養土(4番/極小粒)を使いました。
これで発芽率や成長具合にどう違いが出るかですね。
1ヶ月経過(8月)
【Aグループ】
鉢に貼られたシールのとおり、
左が「4番(極小粒)」、
中が「5番(小粒)」、
右が「赤玉土」
となっています。
4番で9粒、5番で6粒、赤玉土で6粒を播種しましたが、赤玉土は発芽率が悪かったです。
ラップで同じように湿度は保ったのですが、発芽率が悪かった要因は不明です。
成長具合は、1ヶ月ならまあ大体こんなものでしょうか。みんなぷりぷりして可愛い。
【Bグループ】
種の形状別の区分は、
左上が「背中が丸い」、
左下が「大きい」、
右上が「背中にしわ」、
右下が「細くて小さく未熟」
となっています。
細未熟は8粒、それ以外は9粒播種しました。
そしてこの通り、右下の「細未熟」の種だけが発芽率が悪く、その他は全て発芽。
とりあえず、小さくシワシワで未熟な種は発芽率が良くなかったという明確な結果がでました。
2ヶ月経過(9月)
【Aグループ】
撮影を忘れていたようです。
これはご愛嬌ということで。(笑)
【Bグループ】
それぞれ葉が充実し、順調に育っています。
種の形状ごとの成長差に関しては、ハッキリとは出ていませんね。
3ヶ月経過(10月)
【Aグループ】
培養土に蒔いたものは3ヶ月経つと色も白っぽくなり、かなりシッカリしてきました。
表皮に割れたような縦皺も見られます。
赤玉土のほうは落葉してしまい、完全に停滞。
購入した種子の実生記録でも3ヶ月目で同じ結果となりましたが、やはり赤玉土のみで育てると、このあたりからグッと調子を落として生育がストップします。
培養土には肥料が含まれていますが、赤玉土だけだと純粋に肥料分が不足するのでしょう。
元肥も液肥もほとんど与えていませんでしたから、ある程度肥料を与えれば赤玉土のみでも育つのかも知れません。
【Bグループ】
こちらもAグループ同様、だんだんサマになってきた感じ。
そして種の形状別では、左上「背中が丸い」と左下「大きい」の葉が大きく成長が速い。
4ヶ月経過(11月)
【Aグループ】
培養土組はこの1ヶ月でさらにひと回り太った感じ。
【Bグループ】
こちらも順調にひと回り大きくなりました。
が、やはり右上「背中にしわ」と右下「細未熟」は葉色が悪くなって停滞している株がよく見られます。
ただその中でも、葉が綺麗に茂ったまま成長を続けている株もいますね。
5ヶ月経過(12月)
【Aグループ】
【Bグループ】
気温が下がってきて、A・Bグループとも成長が少し鈍ってきた様子。
葉色が紫っぽく変わってきた株もチラホラ見られます。
このまま落葉して休眠してしまうのかな~と思っていたのですが…
このあとベアルート株の発根管理のために簡易温室を導入した際、スペースが余っていたのでお試し程度で、実生株も一緒にパネルヒーターで加温・LEDライトで照射して育て初めました。
9ヶ月経過(2023年4月)【温室で急成長】
私生活が忙しかったことや色んな理由から、実生株たちを温室に移して以降は定期的な写真撮影ができていませんでした。
しかし、気がつくと「あれ?いつの間にか全体的に大きくなった?」と感じていました。
そして4月に撮影した写真がこちら。
【Aグループ】
わぉ!!
グググっと大きくなった株が見られます。
葉がワッサワサの株は、それに比例するように塊根もデカくなってます!
特に、4番培養土の右奥の株はどんどん太くなり、もうプレステラ105のフチに塊根部が当たっちゃってます。
隣の株も押しのける凄まじい勢い。
【Bグループ】
こちらも順調に育ちました。
Aグループのように所狭しとフチや他の株に当たるほどの成長株はないものの、ワサワサと葉を伸ばしてグッと成長しています。
ということで、12月からの4ヶ月間、温室・LEDライトでの育成で芳しい成長が見られました!
成長に欠かせない「光・水・風」、そして「昼夜の温度差」までも天候に左右されることなく自由に再現・調整できる温室LEDライト栽培は、やはり実生の育成において極めて有利なようです。
植替え!【根を確認】
さて、それぞれの成長に伴って鉢がかなり窮屈になり、さらに葉色もだんだん悪くなってきたので、いよいよ根詰まりを起こしているのでは…?と。
そんなわけで、一気に全て植替えました。
土の中の根の状態を確認できるのはこのときだけなので、しっかり観察!
【Aグループ】
Aグループの鉢は、全てプレステラ105です。
まずはこの鉢から。
4番(極小粒)培養土
抜いてみると…、
どーん!根鉢ぃ!やはり、鉢の中いっぱいに根が蔓延ってました。
そして、窮屈そうにフチに当たっていた株は、塊根にフチの跡が入っちゃってます。
根の量とそれぞれのサイズ感。
びっしり張り巡らされた根のほとんどがこの大きな株のものでした。
そして、やっぱり根(葉)と生育度合いの間には明らかな相関がありますね。
それと、この後のどの鉢もですが、根同士が複雑に絡まっていて、解くのがなかなか大変でした…。
しかし途中からだんだん手慣れてきて、最終的には根解きスキルが相当磨かれてました。(笑)
5番(小粒)培養土
どどん!こちらもしっかり根鉢!
これも苦労しながら根を解き…。
並べてみると、こう。
4番の培養土とほぼ同じ感じなので、土の違いによる差は見られませんね。これはこれで分かりやすい結果に。
そして、構図としては、こちらも根をたくさん張れた株の1人勝ちといった感じ。
一つの鉢に複数種を蒔いてそのまま育てると、競争環境で成長が促された結果、強いものが抜きん出て成長するのかな?とも思ったりするのですが、どうなんでしょうね。
根は水や養分を求めて伸びるので、近くに他の株の根があるとそれらが奪われ、より根が伸びることで最終的に大きく成長する…?
それとも単純に、根が先行的に旺盛に伸びた株が鉢内のスペースを占領して、こうなっている…?
いずれにせよ、そもそもこのボリュームの根はさすがに2株分も鉢に収まらないので、このくらいの成長株を1鉢で2つ作るのは物理的スペース上、不可能そうですね。(おそらく、そのぶん鉢が大きければ良いというものでもない)
根がここまで伸びる前には植替えが必要ということですね。
赤玉土(小粒)のみ
この鉢は別日で植え替えましたが、根はやはりこんな感じでした。
発芽初期はぷっくりイイ感じに育っていたのですが、やっぱり赤玉土だけだと根もこのくらいで停滞するんですよねー。
そして、1号鉢に植替えてしばらく経過し、無事に新葉が出てきています!
【Bグループ】
前述のとおり、Bグループは種の形状で分けたので用土を全て同じ条件(4番培養土)に揃えてあります。
鉢は全てプレステラ90です。
種の「背中が丸い」
この鉢は、それぞれの株のサイズがわりと均等に育っていますが、鉢の中は果たして…。
根鉢は同じ。
知恵の輪ならぬ “知恵の根” 状態なのもモチロン同じ。
この鉢はみんなコロコロしてて可愛いかった。
おー、なるほど。
ここまで来ると、なおさら地上部のサイズと根の充実量のリンクが明確です。
そして、「4番」「5番」とは違い、突出した株はないものの、均等にそれぞれ根を張って中々バランスよく育っています。
一つ一つがコロンと丸く、全体的なクオリティは安定している印象。
この鉢では「1人勝ち」現象は起きていませんね。
Bグループの中ではこの「背中が丸い」種が最も成績が良かったです。
半ば強引に理由付けするなら、「種が丸く良形だったため、それぞれの発芽後の成長速度が同レベルで安定し、過度な競争や生育差が発生しなかった」のかも知れませんが…、真実や如何に。(笑)
種が「大きい」
びっしり。
サイズ的に一番左がこの中の筆頭株でしたが、根の量は言わずもがな。
初めは縦に伸びてヒョロっとしていたのに、いつの間にかグングン太くなり、立派になってました。
その太り始めたタイミングで地中では根が充実していったのかも知れませんね。
そしてこれまた1人勝ちパターンです。
しかし、この鉢は “種が大きい” という、いかにも生育上有利そうなグループだったので期待していましたが、発芽率は7/9粒(厳密には発芽後にダメになったり)で、サイズ的にも特段大きいわけでもなく…といった所は意外でした。
種の「背中にしわ」
種を並べたとおり綺麗に9粒発芽して育っていたのが、途中からほとんどの株の生育が停滞しました。
やはりこの鉢は根が少なく、“根鉢” ではありませんでした。
根は、地上部から予想できるとおり。
「1人勝ち」パターンです。
種にしわがあったこととの関連性は何とも言い難いですが、ほとんどが順調に成長した「背中が丸い種」の安定感とは正反対の結果となりました。
種が「細く小さく未熟」
小さく未熟な種だと発芽率は良くなかったものの、株自体はわりとしっかり育ちました。
むしろ発芽率が悪かったことで鉢内のスペースに余裕があり、根をしっかり増やせたのかもしれません。
これが正解ならば、ある程度鉢のサイズに余裕を持たせて育てたほうが、満遍なく大きく育てることができそうです。
とにかく、種が小さく未熟でも、発芽さえすればしっかり成長する!ということは分かりました!
植替え完了!
これだけの量を植替えるのは、ひと苦労でした。
まだまだ実生していきたいと思っているので、今後さらに増えていくと思うと恐ろしい…(笑)
植替える用土についてですが、これまでは既製品の培養土を使っていました。
しかし今年からは配合を色々試しながら自分の環境に合った土づくりをしていきたいと思っているので、今回は全て自分でブレンドした土を使っています。
現時点での生育具合で3つのトレーに分けました。1軍~3軍ですね。
1軍については引き続き温室で育てていきます。
しかし、どれも種から育てたかわいい子株。
今小さな株たちも、スイッチが入れば化ける可能性は十分あると思うので、しっかり育てていきます!
グループ分け実験の結果
最後に、ここまでの生育状況から得られた結果を。
もちろんサンプルがとても少ないので再現性の確度は低いですし、前提条件も均一ではない部分がありますが、あくまでもその上で「今回はこうだった」という記録です。
今後の自身のため、そして、これを読まれた誰かにとって少しでも参考になれば。
以上、初の “自家産実生グラキリス” の播種から10ヶ月経過および植替えの記録でした!
今回、温室LEDライトでぐんぐん育ちましたが、葉が焼けたり縮れたりもしたので、絶好調の状態はキープできていなかったと思います。
とはいえ…2021年に初めてグラキリス実生に挑戦したときの私からすれば、とんでもなく良形に育ってくれたので、とても嬉しいです!!
今後、温度や水やり頻度、光・風の強さ、肥料の加減…などを上手く改善し、成長ブーストのかかった状態をキープできれば、さらに爆発的に生育させられると思うので、色々と試行錯誤してうまく育てられるよう、楽しく前を向いてレベルアップしていきたいと思います!
それでは、また!
コメント
素晴らしい結果ですね!
園芸店舗に勤めてます。
私の店にも国内最大級の塊根部幅30センチ、高さも土の表層から35センチほどのグラキリスがおります。
試してみようかと思います。
影ながら応援、楽しませて頂いてます✨
Nineさん
ありがとうございます!^^
そのサイズのグラキリスはすごいですね…!お店の株とはいえ、そんな立派な大株が身近にあるのが羨ましいです!さぞ圧巻の迫力でしょうね。
いつか国内最大級レベルの株を所有してみたいものです…!
とても嬉しいコメントをありがとうございます!!
今こうやって育てた実生株が、何十年後かにそんな大株に育つことを夢見ながら、楽しんでいきたいと思います^^