どうも、ぞーげきゅうです!
“発根管理は上級者向けだから、初心者は未発根の株には手を出さないほうが良い”
塊根植物に興味を持って育て始めた当初にこの通説を知り、今までこの教えを守ってきました。
しかし、私の塊根植物歴も今年で5年目となり、特にパキポディウム・グラキリスについては、年間を通した管理の方法やコツもかなり掴めてきて、実生や人工授粉も経験しました。
今では、グラキリスの育成について、自分なりに自信を持てています。
そして以前から、「そろそろ発根管理もやってみたい」「私も上級者の仲間入りがしたい!」(笑)という思いが湧いていました。
ということで今回、いよいよ自身初のグラキリスの発根管理に挑戦します!
今は、私が塊根植物を育て始めた頃よりもずっと情報が充実しているので、事前に色々なサイト様を参考に勉強させていただきました。
先人の方々に感謝しつつ、グラキリスの発根管理について、これから私も何かしらお役に立てる気づきやノウハウをこのブログで記録・発信できればと思っています。
マダガスカルからやってきた未発根株
ということで、自身初の未発根グラキリスをお迎えしました!
到着したのがこちら。
包装紙を開封し、ご対面。
こ、これがミハッコンカブ、いわゆるベアルート…!
ベアルート株を販売しているお店が近くにないので、根も無くごろんと横たわる現地球グラキリスの実物を目にするのは初めてで、個人的に新鮮でした。
状態チェック
まず、この株の状態を確認。
全体的にハリ・ツヤがあり、柔らかい部分や凹みは見られません。
腐ったような匂いもなし。虫もなし。
主根もしっかり残っています。
ちなみに、根まわりにコーティングされているこの白いものは硫黄で、根を切られた後の殺菌処理として現地で塗られているようです。
枝折れは一切なく、写真では分かりにくいのですが枝先が若干緑がかっていて、環境が整えばすぐにでも芽吹きそうな”生気”が感じられます。
ちなみに、持ってみると株本体にしっかり重みを感じます。
ということで、未発根株を手にするのは初めてですが、特に状態の悪そうなところは見当たりませんでした。特に重要視される、持ったときの重量感もありますし、株の鮮度・状態としてはかなり良いのかなと思います!
とりあえず、ひと安心。
フォルム・サイズ感
手に持ってみたサイズ感は、こんな感じ。
手のひらサイズで、扱いやすい中株という感じですかね。
塊根部は大きめのタマネギくらい。
丸いボールに3本の枝が折れることなく綺麗に伸びていてバランスが良いなと思い、この株の購入を決めました。
枝の短い株が人気ですし、私も短枝が好きですが、これはこれで面白いと思います。
上から見ると、塊根部はまん丸。
ひび割れたような模様?や風合いのある傷、銀色のツヤがたまりませんね。
発根管理を開始
株の状態が確認できたところで、早速、発根管理に取りかかりました。
ちなみに、最初の処置で私が準備したものは次のとおり。
- 計量カップ …(水の計量)
- オキシベロン …(発根促進)
- 穴なしの鉢 …(根の浸け容器)
- 計量注入器 …(薬剤の計量)
- 剪定バサミ …(根の切断処理)
- 麻紐 …(株の固定)
<※補足>
この中で、麻紐に関しては植込み後に株を固定するために使うつもりでしたが、結局今回は植込み後の固定はしませんでした。
ただし、後述しますがオキシベロンに浸けおく際に使いました。
株を水洗い
まず、株全体を水で洗いました。あまり強く擦ったりせず、あくまでも“流す”程度。
根まわりの硫黄も、軽い水圧で流れ落ちます。
根の切断処理
次に、主根を切ります。
この目的としては、新しい切り口を作ることで新鮮な組織を出し、そこからの発根を促すこと。
綺麗な切り口が出てくるまで、慎重に切っていきます。
十分に主根の長さは残っていますが、まずは少しだけ切ってみると…
4本伸びている主根のうち、1本の切り口が黒い。
なお、匂いを嗅いでみましたが、特に異臭はしませんでした。
ということで、さらに少しずつ切っていくと…新鮮な面が出てきました。
この処理で切った根の総量はこれくらい。
主根を長く残しておくと、なかなか発根しなかったときに”再切り詰め代”があることでリセットしやすいようなので、切る量が少なく済んでよかったです。
オキシベロン(発根促進剤)に浸けおき
根の処理ができたら、オキシベロンの40倍希釈液に、根の部分を12時間浸しておきます。
容器は何でもいいのですが、まだ穴を開けていない大きめの鉢があったので、これに麻紐でハンモックを作りました。
ということで、オキシベロンの希釈液を鉢に入れ、グラキリスをハンモックに乗せたところ。
これならダメージもなさそうです。
まあ、現地からここへ辿り着くまでに、何度も地面をゴロゴロ転がされているんでしょうけどね。
気にしすぎかも知れませんが、今はただでさえダメージを受けている状態なので、出来るかぎり最善を尽くしてやりたいなと。
このまま12時間浸けておきました。
ルートン(発根促進剤)を塗布
オキシベロン希釈液に12時間浸け終えたら、根を自然乾燥させ、今度は別の発根促進剤「ルートン」を根まわりに塗っていきます。
オキシベロンとルートンは、それぞれ成分の違う発根促進剤です。
どちらか一方だけでも十分という意見もあるようですが、成分が異なるのであれば併用の意味はあると思っています。
ということで、私はできる限りのことはやっておきたいので両方使っています。
主根の断面だけでなく、根まわりの全体的な範囲にルートンを薄く塗ります。
私は乾燥したまま塗りましたが、ルートンの使用方法には “切り口を水で湿らせ粉衣する” とあるので、軽く霧吹きなどをしてから塗布してもいいかも知れませんね。
(※ただし、厚く塗り過ぎると発根を阻害することもあるそうなので注意)
これで株の前処理は完了です。
鉢に植え込み
ここまでくれば、いよいよ植込みです。
発根管理における鉢選びでは、排水性とサイズ(株に対して小さめが良い)が重要。
ということで今回私は、プレステラ105を使うことにしました。黒のプレステラなので、光で鉢内の温度が上がりやすいのもいいですね。
より排水性を高めるため、鉢底石は大きめのものをたくさん入れました。
これだけ鉢底石を入れたので、土はかなり少なくなりました。
発根管理においては、根さえ埋まっていれば土は少なければ少ないほど良い、と思っています。
水を吸う根がない分、湿った状態が続きやすく腐りやすいため、少しでも土が速く乾く環境が良いようです。
過去に、発根管理をされて発根確認済として購入させていただいたグラキリスも、株に対してかなり小さい鉢で土はすごく少なめで植えられていました。
なお、用土については過去にご紹介した山城愛仙園さんの培養土を使いました。
▼山城愛仙園さんのオリジナル培養土に関する記事はこちら
この土はかなり水はけ良く配合されているため、発根管理にも適していると思います。
ということで、植込み完了後の姿がこちら。
うん、イイ感じ!
土中温度計も設置してみましたが、発根管理中の雰囲気が出て良いですね。
あとは麻紐で株を鉢に固定しようと思っていたのですが、結局やめておきました。
理由は次の2点。
- 主根を長めに残せたためか、思ったよりも株がグラつかず安定していた。
- あまり下に引っ張るようテンションをかけてしまうと、だんだん土に沈んでしまうことがある。
麻紐で縛ってある姿も、発根管理中ならではの雰囲気が出て良いんですけどね!
続いて、ぐるっと各アングルから。
根の位置的に、株のお尻が鉢からはみ出す形になりました。
端に寄った植わり具合も面白い。
株をどんな角度で植えるか悩みましたが、幹肌のシワや日焼け跡などから、現地で生えていたと思われる一番自然な向きで植えました。
発根して本格的な鉢に植え替える際には、「3本の枝が真上を向くように植えたらキレイかな」とか「もっと傾けたら面白いかな」とか、色々考えつつ…こういうところも楽しいですよね!
日々の発根管理
鉢に植え込んだら、あとは「水やり ⇒ 土が乾く ⇒ 水やり」を繰り返すことで発根を促していきます。
その際、土の乾き具合を定量的に把握するには、やはり重さを量るのが確実だと思います。
ということで、最初の水やり前に量りました。
土が完全に乾燥した状態で、795g。
今後の日々の管理として、これを基準に水やりするかどうかを判断していこうと思います。
最後に、発根管理中の置き場所について。
もう6月で梅雨入りしているため温度・湿度ともに高く、常時屋外で管理するのが環境的にも良いと思うのですが、様子を見ながら考えていきます。
また、発根管理でよく使われているこんな物も、念のために準備してみました。
育苗用のヒーターマット。試しに最初に使ってみましたが、単純にマットの上に鉢を置くと、土中温度は1~2℃程度上がりました。
土の温度と乾燥の傾向も見ながら、適宜これも使っていきたいと思います。
以上、パキポディウム・グラキリスの発根管理への自身初挑戦の記録、第一編でした。
これからしばらく管理を続けてみて、また何かの区切りで続報を記事にしたいと思います。
自生地で採集されて根を切られ、はるばるやってきた貴重な株ですから、せめて我が家で無事に発根させて、元気に育ててやりたい…!
しかし、発根管理がうまくいくかは株自身のコンディションによる部分が大きいと言われています。この株の生命力を信じて、愛情込めて世話していきたいと思います。
今年の秋には、他の発根済みグラキリスたちと一緒に並べられるよう、がんばります!
それでは、また次回!
▼続きの記事はこちら
コメント
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