どうも、ぞーげきゅうです!
前回の記事で、リニューアルした育成環境をご紹介しました。
スペース・日当たり・風通し・設備環境など、どれを取っても以前のマンションベランダ園芸とは見違えるほど充実しました!
そして、さらにこの計画に加え、塊根植物にのめり込んだ時から常々私が思い描いていた “やってみたいコト” がありまして…
さて、今回は久々に長文になります!
憧れのビニール屋根
私のやってみたいこと。それは、
“屋外育成スペースにビニールの屋根を張りたい!” です。
言い換えると、「屋根だけ版のビニールハウス」を建てたいということです。
やっぱり、雨よけできて日光も取り入れられる(しかも良いくらいの遮光になる!)というビニールハウスのメリットってとてつもなく大きいよなーと。
メリット①雨よけと採光の両立
グラキリスはじめ塊根植物は、雨ざらしにすると調子が上がったり、生育が良くなると言われていますね。(と同時に、雨に当たると虫にやられやすいイメージも過去の経験上あるのですが、それは株の抵抗力が落ちている場合に限るのかなと思ってます。)
想像ですが、おそらく雨水は、水道水には含まれない微量要素や酸素、水質(PHなど)が良い影響を与えるのでしょう。
なので後日、晴天が続くのであれば、ぜひとも恵みの雨に当ててやりたいものです。
ただし、雨天やその後の曇天が続いてしまう場合は、根腐れや徒長が心配ですよね。
特にサイズ・フォルムの完成された現地球などは、そういったリスクから守りたいので(しかも鉢が大きく土の量も多いため乾きにくい)、雨水のメリットを傍受できなくても、灌水タイミング・頻度は降雨の影響を受けず自分で調整したいと思っています。
雨の当たらない軒下で管理できれば良いのですが、軒下だと特に太陽の高い夏場はなかなか日照が確保できない。しかも軒自体は高い位置にあるので、結局、風が吹き込めば雨もかかってしまう…。
そういうわけで、マンションベランダでは、軒よりも張り出していて雨・日光とも当たる場所に株を置いて管理してきました。
そのため、しばらく晴れなさそうで、雨が降るかどうか微妙なときは直前まで天気予報とのにらめっこが大変でしたし、予期せぬ雨が降り出したときは急いで株を室内に取り込んだり(在宅でない時は外れた天気予報を恨む。笑)と、株数が増えてきたのもあり管理が非常に大変でした。
これは何とかならないか…
雨には当てたくないが日光(屋外なら曇天でもそれなりに明るい)は当てたい。
となればハウスだが、風を回したり温度の上がり過ぎに気を遣ったり、強風で煽られ飛ばないよう対策もしておかないと…
と考えた結果、保温機能は不要で雨よけと採光の両立さえできればいいので、ビニールの屋根だけあればOK!ということで、屋外にビニールの屋根を張る構想を描いていたわけです。
メリット② “微” 遮光
私がグラキリス(特に現地球)を管理する上で一番恐れていること。
それは、根腐れでも徒長でも虫でも病気でもありません。(…いや、虫と病気は同じくらい警戒してますが。笑)
根腐れは、排水性の高い用土で底穴もしっかりある鉢に植えて、定期的に植替え、風通しを確保し、土が乾いてから水をやるという基本さえ守っていれば大丈夫。
枝の徒長はもちろん防止したいのですが、光さえしっかり確保できていればそれほど酷い徒長は起きないと思っています。
ただ…一番避けたいのは、日焼けです。
葉焼けではなく、塊茎部の日焼けです。
怖い日焼け
たとえ葉が焼けてしまっても一時的なもので、いずれ落葉して新しい葉が出れば何ら問題ありません。
しかし塊茎部だけは、一度日焼けしてしまうと元には戻りません。
こちらは私が初めて迎えた現地球グラキリスですが、育て始めた頃の色はこうでした。
そして、ここから4年経過した現在。
かなり雰囲気が変わりましたよね?
特に焼けた頂点部分をアップで。
これはこれでカッコいいのですが、上品でオシャレだった白い幹肌ではなくなってしまいました。
まだ知識と経験が浅い頃の私は「灼熱の太陽燦々なマダガスカルに自生するグラキリスには、直射日光をガンガン当てれば当てるほど良い」と思っていました。
なので、当時は遮光の必要性なんて一切考えませんでした。
しかし、日本の夏は強烈すぎるということを知りました。
陽射しもそうですが、自生地以上に気温が高すぎるんですね。確かに暑いもんなあ…。
とは言えもちろん、この株はこれからも大切に育てます。
初めて迎えた現地球グラキリスなので愛着や思い入れもあり、この日焼けの事も含めてこの株にはグラキリスのイロハをたくさん教わりました。
一生手放したくない株です!
しかしグラキリスの魅力の一つは、和名が象牙宮というだけあって、まさに象の皮膚のような銀色に艶めく表皮と質感だと思っています。
これが焼けてしまうと、上の株のように少し紫色や茶色っぽくなったりします。
スポット的に焼けた色味が入っていたりする場合は非常にシブくてカッコイイのですが、銀色の肌が広範囲で焼けてしまうと、一気にその象肌の質感が変化してしまいます。
ちなみに、この株は徒長を恐れて一時相当水やりを辛めに管理していたので、その影響もあって焼けてしまったのかなと思います。
それと、そもそも株ごとに日焼けのしやすさもかなり違いますね。
日に焼けた幹肌は好き嫌いの分かれる部分でもありますが、とにかく一度焼けたところは元の色には戻らないので、できるだけ私は避けたいと思っています。
ビニールの遮光率
そんな経験から、夏にはいくらか遮光したいと思っていました。(この新しい環境ではより日当たりが良いので、以前の育成環境よりもさらに日焼けしやすいはず)
しかし、グラキリスは日光の要求量が高い植物であることは間違いないと思うので、あまり遮光率が高いのもどうかと。
ということで、私が探した市販の遮光ネットの中で最も遮光率が低かったものが22%遮光。
とりあえずでコレを張っていたときの写真がこちら。
体感では、直射日光に比べて日射による熱がかなり軽減しました。
日焼けは強光ではなく高温で焼けると思うので、日焼け防止にはこの22%遮光で十分効果が得られそうに感じました。
ただ、明るさも思ったよりも落ちるなという印象でした。(全て遮光ビギナーの私感です。笑)
そして、私が屋根として張りたいと考えている農業用ビニールはおよそ15%遮光。
日焼け防止には寄与しつつ、光合成量をあまり落としたくないので、まさにちょうどこれくらいの “微” 遮光を求めていました!
もしやっぱり遮光率が足りなそうであれば、ビニールをもう1枚重ねたり、いくらか梳いて遮光度を抑えたネットを重ねて調整することもできますしね。
設計図を描いてみた
さて、ということで、ビニール屋根フレームを実際に作ってみることに。
フレーム自体がそれなりに大きく、必要な部品も結構多くなりそうだったので、しっかりと計画を練ってから作製しました。
こちらが描いてみた設計図。
最終的にはこの図面から変更した部分や足し引きした所もあるのですが、大体はこのとおりに作り進めました。
ちなみに、ここからの主な変更点は以下のとおり。
- 手前中央にも支柱を追加。(4mスパンだとやはりたわむ)
- ところどころ筋交いを追加。(強度確保)
- 西側の延長分(西日遮光用のつもりだった)は中止。
後から延長可能なので、来年の夏必要なら追加かな?
各部品資材・工具など
これを作製するために準備した資材や工具をご紹介します。
イレクターパイプ
まずは主役の、イレクターパイプ!
初めは単管パイプでビニール屋根フレームを組もうかと思ってましたが、個人宅のバルコニーに単管パイプで組むとさすがにゴツくて大袈裟になりそうなので少し悩んでいました。(笑)
そこで色々考えるうちにイレクターパイプに辿り着きましたが、コレにして本当によかったです。
イレクターパイプは、スチールパイプに、プラスチックを被覆してありますので、丈夫で軽く、錆びに強く、清潔さを長く保つことができます。
矢崎化工株式会社HPより引用
ということで、確かに丈夫で軽い。
耐久性・耐候性・防錆性はこれから実際に確かめていくことになりますが、今のところは大満足です!
個人的には、ブラック色が選べるのがまた良かったですね。
もちろん単管パイプでも塗装すれば色は変えられますが、その手間が省けてよかった。
プラスチックジョイント
次に、イレクタープラスチックジョイント。
プラスチックジョイントは、サンアロー接着液(イレクター専用)を注入する固定方法で、一度接着するとはずれません。軽量で水回りに強い特徴があります。
矢崎化工株式会社HPより引用
このジョイントが種類豊富にあるので色んなカタチができますし、組み立ても簡単です。
ちなみに、プラスチックジョイントの他に、ボルトとナットで締めて固定する “メタルジョイント” もあります。
サンアロー接着液
これをパイプとジョイントの接続部に塗ると、プラスチックが溶け、しばらくするとくっついて固まるというもの。
チューブカッター・ヤスリ(砥石)
イレクター専用のカッターもあるのですが、もう少し安く手に入るこのカッターで十分切れました。
パイプの断面がささくれていると危なかったりジョイント接続しにくかったりするかなと思い、ヤスリと砥石も購入しましたが、今回は使わなくとも問題なく作製できました。
農POフィルム
“農業用ポリオレフィンフィルム” の略で、今回、屋根として張るビニール。
製品の選択肢として「農業用ビニールフィルム(農ビ)」と「農業用POフィルム(農PO)」の2種類があり、それぞれの特性があるようですが、一般的に、農POのほうが次の長所があるということで、採用しました。
逆に農ビの長所は、初期の透光性が高いことと、保温性が高いこと。
初めは光をよく透すのですが、汚れやすいためいずれ農POの透光性を下回って逆転していくようです。
これに関しては、できれば一定の環境を維持したいところ。
そして、保温性は今回の私の用途上まったく必要ありません。
ということで、農POを採用することにしました。
※農ビと農POの違いが説明されたサイトはたくさんありますが、こちらなどを参考にさせていただきました。
パッカー
これはフレームにビニールを挟んで固定するためのモノですね。
パイプに合わせて黒色の製品を探したのですが全然なくて、唯一見つけたのがコレでした。
この製品は直径25mmで、イレクターパイプの直径が28mmなので、取り付け時には結構固く力が要るのですが、2回目からはパッカーが少し開くようで、取り付けがラクになりました。(とは言えビクともしないくらい強く固定されます)
強風で外れてしまわないようしっかり固定したかったので、むしろ25mmのキツめサイズでちょうど良かったなと思っています。
費用総額
以上の資材・工具を全て揃えるのにかかった費用は、総額で3万円強でした。
これが高いか安いかはそれぞれだと思いますが、やっぱり自作なので細かい寸法を自由に決められるのは使い勝手としても大きいですね!
完成!設置!
モノは揃ったので、あとは設計図どおりに組み立てていきました。
作製過程の写真などは全く残していませんが、まあひたすら必要長さにパイプをカットして、ジョイントで接続していっただけです。
それでも、何だかんだで完成に3日かかりました。一気にやってしまう時間が取れなかったのもありますが、私は普段DIYとかしないし、不器用なもので。(笑)
しかし、作り始めると、今後DIYにハマりそうなくらいとても楽しかったです!
満足の出来
そんなわけで、無事完成したビニール屋根用フレームを設置したところが、こちら!
細かいところで…というのはいくつかありますが、私的にはほぼ思ったとおりの出来栄えで大満足です!
いやー、これで雨天を気にせずグラキリスを屋外管理できます!
植物棚がまだ一つなので半面しかビニールを張っていませんが、棚が増えればもう半面も。
でも、残る半面は実生を直射雨ざらしで育てるスペースにするか…などと楽しく妄想しています。
それと、耐風強度としては結構頑丈そうです。
これだけのスチールパイプで作っているためそれなりに重量があり、ビニールも屋根部分に張っているだけなので強い風が吹いてもそこまで風圧を受ける感じはなく、ビクともしません。
とはいえ、台風時などはさすがにビニールを外して備えようと思います。
微遮光の実際
ちなみに、この農POは遮光率15%とのことでしたが、実際どの程度なのか定量的に確かめたくなり、照度計で確認してみました。
9月24日14時測定。この日は雲ひとつない晴天でした。
直射日光下で、約18万8千lux。
ビニール(農PO)の下で、約16万6千lux。
ということで実測上、luxで約12%の遮光率でした。ほぼ仕様どおりの結果ですね。
遮熱量は定量実測できていませんが、体感では22%遮光ネットよりも少ーし熱いかな?という感じで、やっぱり遮熱も比例している感じでした。
結果、私の求める “微” 遮光がイイ感じに実現できていました!
ビニール屋根フレームを作製してみて
以上、自作したビニール屋根のご紹介でした!
本当はでっかいビニールハウスで温度管理もして夢のような植物ライフを送りたいのですが(笑)、私の規模だと、ビニール屋根だけにしておいて冬は屋内に取り込んで管理、が今のところの最適解かなと。
まあとにもかくにも、天気が気になる呪縛から解放された事がとても大きいです。(笑)
気温が下がって落葉するまではこのままビニール屋根の下で管理し、冬はグラキリスを部屋に取り込んで窓から差す日光を当てる計画です。
あとは、これを作る過程が思いのほか楽しかったです。
前述しましたが、私はDIYがあまり得意ではないほうですが今回すごく楽しかったので、これを機にDIYが新たな趣味になりそうなくらい。
植物を通して色々な発見や楽しみができる。
園芸は本当に素晴らしい趣味だと改めて思いましたね!
今後も引き続き色々と試行錯誤や工夫をしながら、楽しくグラキリスを育てていきたいと思います。
それでは、また!
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